高レベル放射性廃液からの発熱元素であるCsとSrの高度分離精製法について検討し、以下の研究成果を得た。 1.CsとSrの溶離挙動 各種ゼオライトに吸着させたCsとSrの、酸、無機塩およびキレート試薬による溶離挙動を基礎的に検討した。Csの分配係数(K_d)と保持体積(V_R)との定量的な関係式として、V_R=V_m+ρV_aK_k(V_m:空隙部体積、ρ:密度、V_a:充填体積)の成り立つことを見いだした。CsとSrの溶離には、フェリエライト(F)およびA型ゼオライト(A)カラムを用いて、それぞれNH_4^+およびEDTA溶液を通液すれば、高い溶離率が得られた。 2.CsとSrの相互分離 模擬高レベル廃液を脱硝し、脱硝廃液をフェリエライトカラムに通液後、NH_4^+塩溶液で溶離すればCsの分離回収が可能である。流出液中のSrは、A型ゼオライトカラムに吸着し、EDTAで溶離回収できる。上記ゼオライトを混合カラム(A:F=2:3)とすれば、CsとSrを一括して吸着でき、混合溶離液(NH_4^+/EDTA)を通液すれば、CsとSrのクロマトグラフ分離が可能であった。カラム温度40℃、流速0.20cm^3/minで通液した場合には、分離度(R_S)=1.41が得られ、ほぼ完全な相互分離が達成できた。 3.CsとSrの回収 溶離フラクションからのCsの回収は、蒸発乾固物を400℃で焼成すれば高純度のCsClが得られた。Srの回収は、溶離フラクションにHF溶液を添加すればSrF_2の沈殿物として回収できた 以上の研究成果は、高レベル廃液の群分離処理でのCsとSrの分離工程にも応用可能であり、発熱元素の有効利用および消滅処理への応用が期待できる。
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