研究概要 |
本研究は、[1] イメージングプレートのような積分型検出器では従来不可能であると考えられていた入射放射線の種類やエネルギーを、輝尽性発光の特性を巧妙に利用することにより、大略ではあるが弁別することが可能であることを示したこと、[2]従来全く測定されていなかった野菜や食品に含まれる自然放射能の「分布」の測定を行った事である。 1)発光特性の研究においては、輝尽性発光のみにとらわれず、即発シンチレーション光にも着目した。即発シンチレーション光の強度に対する輝尽性発光強度の比は放射線の種類やエネルギーに依存し、この比はエネルギー損失比(-dE/dx)の関数であることを示した。 2)イメージングプレートの読み取りを多数回続けて行い、一回の読み取り強度に対する比をとる方法によって、入射放射線の種類やエネルギーの大略を弁別できることが分かった。 3)プルトニウムを扱う核燃料処理施設において、空気中のプルトニウム微粒子が一個でもフィルターに補捉されれば完全に検出することができ、かつ微粒子の大きさも求めることができることを示した。 4)ホットラボラトリ-における極微量の放射能汚染分布の測定、岩石表面における自然放射能の分布の測定、ならびに3)で述べたプルトニウム微粒子の測定のように、放射性物質が局所的に存在する場合には、露出は、通常の実験室において可能である。検出できる放射能強度は、おおよそ〜10^<-3>Bq/mm^2であり、この値は従来の通常の汚染検出器では全く検出不可能な値である。 5)野菜や食肉などのように我々の身辺に日常存在する材料の中に含まれる極微量の自然放射能の分布の測定を、鉛5〜10cm,あるいは鉄10〜20cmの厚さの遮蔽箱の中を段階遮蔽し、その最も内側を厚さ0.5〜1cmのアクリル樹脂で覆うことにより、上記の材料中に含まれる自然放射能の分布を測定することができた。
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