• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1994 年度 実績報告書

高速増殖炉の熱疲労現象に対する確率的破壊力学を用いた構造信頼性評価

研究課題

研究課題/領域番号 05680416
研究機関京都大学

研究代表者

松下 泰雄  京都大学, 工学部, 助教授 (90144336)

研究分担者 田中 泰明  京都大学, 工学部, 助手 (90217068)
キーワード高速増殖炉 / サーマルストライピング / 熱疲労 / 確率的破壊力学 / 構造信頼性 / 確率モデル
研究概要

本研究では、確率的破壊力学を援用することにより、高速増殖炉における液体ナトリウムの高サイクル温度変動に起因する熱疲労現象、いわゆるサーマルストライピング現象における原子炉構造部材の残存寿命分布に対する理論的な考察を行った。得られた主な結果は以下の通りである。
1.応力緩和係数の概念を導入することにより、多数の縁き裂が存在する場合の応力場ならびに応力拡大係数を近似評価する手法を提案し、これに基づいて熱疲労き裂群の不規則成長を記述する確率モデルの構築を行った。この結果、き裂間隔が極めて短い場合には応力緩和の効果が強く現れて残存寿命分布は長寿命側に移行すること、き裂個数の増加は短寿命側への移行を引き起こすが、き裂個数が15を超えるあたりから寿命の短縮は頭打ちとなること、などが明かとなった。
2.広帯域型温度変動スペクトル下での不規則き裂進展問題を解析するために、上述の確率モデルを応力拡大係数の局所的な期待値に着目して拡張する手法を提案し、サーマルストライピング現象に対する理論解析を遂行した。この結果、温度変動スペクトルのバンド幅の増加は残存寿命分布を短寿命側に移行させることが判明した。また、実際の高速増殖炉におけるナトリウムの温度変動スペクトルに関するデータを収集したところ、スペクトルは必ずしも狭帯域型とはならないことが判明したため、一般のスペクトル形状に対応し得る理論解析手法を開発できたことの意義が実用的観点からも確認されたことになる。
3.内表面温度の変動に関する種々のパラメータが残存寿命分布に及ぼす影響を調べ、特に高信頼度領域での影響度を定量的に評価することができた。この結果、内表面温度のスペクトル形状は極端に広帯域とならない限り影響度は小さく、き裂進展のランダムな特性は主に材質の微視的不規則性に支配されることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 田中泰明: "ランダム温度変動下でのピーク応力による疲労き裂進展寿命分布" 材料. 43. 68-74 (1994)

  • [文献書誌] 豊田倫子: "広帯域型ランダム温度変動下での熱疲労き裂進展寿命分布" 材料. 44(掲載予定). (1995)

  • [文献書誌] Hiroaki Tanaka: "Random Thermal Fatigue in Fast Breeder Reactor -A Narrow-Band Spectrum-" Nuclear Engineering and Design. (掲載予定).

URL: 

公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi