平成6年度までに開発した新しい局所解析解差分法を用いて、質量、運動量、エネルギー各保存方程式を離散化し、その離散化式に基づいてプログラミングを行い、2次元熱・流動解析プログラムを作成した。 次に、上記の解析プログラムを用いて、平面ポアズイユ流に対する解析解との比較、カルマン渦の2次元流動解析結果と実験データとの比較をとうして、本プログラムの検証を行い、本解析プログラムの有効性を確認した。 次に、2次元体系に於いて、伝熱と流動現象が強く結合し、従来の差分法では不安定解を生じ易く、かつ流れの多次元性のため数値拡散が大きい高レイリー数(Ra=10^8〜10^<10>)のキャビテイ内自然対流問題に対し、上記の解析プログラムを用いて熱流動解析を行った。Ra=10^8では、安定な層流解が得られ、Ra=10^<10>では定常解が存在せず、時事刻々と変化するカオテックな渦構造を有する熱流動パターンを得た。このシミュレイションによって、等温状態から左右壁に瞬時に温度差を与えた後の渦の形成過程、キャビテイ内の渦構造を数値解析的に明らかにした。 QUICKスキーム等の従来の高次差分法を用いて、Ra=10^<10>の高Ra数の解析を行うと、数値計算上の不安定性のための数値解は発散し、FRAM法やTVD法のように、局所的に低次精度の差分法への切り替えを行う特別の工夫が必要であった。しかし乍本研究で開発した差分法の場合、そのような特別の工夫を必要とすることなく、不安定な物理現象を数値計算上安定に計算できることが確認できた。
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