1.自己消滅ストリーマ-(Self-Quenching Streamer:SQS)モードは、ガス計数管の電離箱、比例、GMモードと並んで基本的な動作モードである。ガス増幅率が非常に高く、しかもこれまでのGMモードに比べて計数率特性が約1桁良い。本研究では、窒素レーザーからの光を用いて、SQSの発生機構のモデルにおける光電離などの寄与を明らかにすることを目的にした。また、原理的な面からSQS管の改良点を見い出し、原子炉周辺、核燃料再処理施設などの高線量率場の計測・線量測定の新しい計測技術を確立することも目指している。 2.以下の成果が得られた。 1)SQS管において第2消滅ガスを用いると計数率特性が改善され、SQS管としてよりよい性能が得られた。このことから、高線量率場における線量測定にSQS管を応用することができる。 2)紫外光と同様に電離飛跡を形成するα線によるSQSの発生機構について、電離飛跡によってSQSの発生が促進されることが分かった。そのメカニズムを計算によってシミュレーションした結果、電離飛跡が濃密であることの影響を受けることがより明確に示された。 3)窒素レーザーからの紫外光によってガス計数管の特性を測定した結果、自己消滅ストリーマ-モードへの遷移が観測され、荷電粒子による場合と同様な電離特性を示すことが分かった。このことは、レーザー光による電離が多段階励起によって行われるためと理解できる。 4)SQSモードにおける準安定状態の光電離の寄与については、レーザーによる電離と光電離との区別について、更に検討を必要とすることが明らかになった。
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