研究概要 |
数値解析による成果 本質的に定常状態のシステム同定アルゴリズムである逐次型ARMAモデル同定法(ARMA法)による未臨界度推定法は、変化する未臨界度を追跡する能力に問題があった。また、推定未臨界度の値も参照未臨界度から大きくずれす場合がある。この問題を解決する方法として適応フィルタによる未臨界度法(ADF法)を提案し、両者の特質を検討して以下のような結論を得た。 1.ADF方法はARMA法に比べて,(1)推定未臨界度の統計的変動が大きいが、未臨界度の変化に対する追従性能が優れている。2.ADF法による未臨界度は、ARMA法に見られるようなオーバーシュートやアンダーシュートを生じない。従って、ADF法は本質的に統計的変動に敏感であり、未臨界度が\単位で変化する様な場合に有効であるが、数¢程度の変化を検知するような精度の高い推定には向いていないと結論出来る。 理論解析による成果 原子炉信号揺らぎのように入力が測定不可能な白色ランダム信号である場合、離散時間系のシステムモデル同定は逆問題として、可同定性の検討が重要な問題である。そこで,この問題を多入力多出力フィードバックシステムを対象として解析し、真のシステムが同定できる十分条件は,(1)フィードバックシステムが最小位相差を持っていること、(2)雑音源が互いに独立であることが充分条件となることを示した。また、3変数システム2観測変数の場合には、たとえ、真のシステムの雑音源が独立であっても2変数しか観測していないため、条件(2)が満たされないことに注意すべきであることを示した。
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