研究課題/領域番号 |
05680436
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
室賀 健夫 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (60174322)
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研究分担者 |
徳永 和俊 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (40227583)
渡辺 秀雄 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (90212323)
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キーワード | プラズマ対向材料 / タングステン / ベリリウム / 水素吸蔵 / 照射損傷 |
研究概要 |
本年度は、水素注入と注入後昇温における微細組織変化と、水素注入後の水素の昇温脱離スペクトルの比較による水素吸蔵機構の検討を行った、タングステンは、水素注入後の昇温により、比較的低温で、発生していた転位ループが表面に滑り出ることが観察されたが、この温度と水素の放出ピーク温度がよく一致することがわかった。すなわち、転位の滑りだしにともなって、そこに保持されていた水素が放出された可能性が示された。また、タングステンにおいては、高純度単結晶材と低純度粉末焼結材の比較を行い、水素の吸蔵量の違いが注入エネルギーによって異なることが明らかになった。すなわち、高エネルギー(8keV)では、はじき出し損傷が多量に起こるため、両材料とも照射欠陥に多量の水素を保持するが、低エネルギー(1keV以下)でははじき出しがほとんど起こらないため、高純度タングステンでは水素の保持する場所がなく、保持量が極めて少なくなる。一方低純度粉末焼結材では照射欠陥以外にも、粒界、介在物などに水素を保持できるため保持量はあまり減少しない。このような純度による差は、タングステンをプラズマ対向材料として用いる場合極めて重要な要素となる。すなわち、プラズマ対向壁において注入される水素のエネルギーはほとんど1keV以下であり、タングステンの純度の差の効果が大きく現われる事が予想されるからである。一方本結果は、プラズマ・壁相互作用の研究を比較的高いエネルギーの水素イオンを用いて行う事の問題点を明確に示している。最近注目されているベリリウムに関する実験もおこない、注入水素の放出には大きく二つの温度領域があること、組織観察との比較により、低温側は、水素化物の分解、高温側は照射欠陥および内部先在欠陥の回復に対応することが明らかになった。
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