本年度の研究では、地中成分として二酸化マンガン(MnO_2)、マグネタイト(Fe_3O_4)、ヘマタイト(Fe_2O_3)、アルミナ(Al_2O_3)をとり、これらの金属酸化物による銅(Cu^<2+>)、マンガン(Mn^<2+>)、コバルト(Co^<2+>)、亜鉛(Zn^<2+>)、ニッケル(Ni^<2+>)などの2価重金属イオンの吸着挙動を調べ、反応のモデル化を行った。本研究で提案する吸着モデルは実測結果によく適合し、決定したモデルパラメーターから、任意のpHおよびイオン濃度条件について計算により吸着量が予測可能になった。さらに、モデルパラメーターの値から金属酸化物のイオン吸着能、金属酸化物に対するイオンの吸着親和性を定量的に評価した。それによれば、MnO_2に対するイオン種の親和性の序列はCu^<2+>>Mn^<2+>>Co^<2+>>Zn^<2+>>Ni^<2+>であり、これらのイオンのヒドロキソ錯体形成能とよい相関がある。金属酸化物のCo^<2+>イオン吸着能の序列はMnO_2>Fe_3O_4>Fe_2O_3>Al_2O_3であり、これは酸化物格子金属イオンの酸としての強さによって説明できる。 次年度の研究では、さらに、重要な地中成分であるフミン質、粘土鉱物によるイオン吸着のモデル化を行う。
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