研究概要 |
本研究の目的は、水圏生態系の物質循環において重要な位置を占める微小プランクトンの現存量を顕微鏡画像解析装置を導入して精度高く見積もる手法を確立することと、細胞サイズの変動要因について基礎的な知見を得ることである。アクリジンオレンジによる一本鎖RNA染色法が、物質循環研究の目的にかなった感度と内容をもつ細胞染色法であることは、バクテリアをモデルに、増殖速度を異にした細胞のDNA含量とRNA含量の個別測定を行うことにより確認された。また、バクテリアから藻類にわたる水圏生態系を構成する主要なプランクトンを材料に、アクリジンオレンジによる染色領域と炭素含量の間によい相関のあることが確認されつつある。成果の一部は“Microbial Diversity in Time and Space"(Ed. by U. Shimidzu,Plenum,1995)に発表した。 本研究の所期の目的に到達するには、さらに細胞の増殖速度や環境への応答がアクリジンオレンジにより正確に評価出来るかどうか、バクテリア同様の知見を微小藻類についても得る必要がある。これについては現在、昼夜培養による細胞の応答を主題に共同研究者と実験を継続して行っている。
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