研究課題/領域番号 |
05680457
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70092385)
|
研究分担者 |
高寺 喜久雄 東京大学, 生産技術研究所, 教務職員 (40216669)
吉田 章一郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40111570)
|
キーワード | 亜鉛 / カドミウム / ラン藻 / 重金属ストレス / メタロチオネイン / タンパク質 / 質量分析装置 / クロマトグラフィー |
研究概要 |
本年度は高速液体クロマトグラフ(HPLC)と誘導結合プラズマ質量分析装置(ICPMS)とを連結した装置(HPLC/ICPMS)により、重金属ストレス下で誘導されたラン藻体内メタロチオネイン(MT)のアイソフォーム分析手法の最適化を行った。その結果、HPLCには逆相カラムのカプセルパックC8 SG-300(資生堂)を、溶離液には9%アセトニトリル溶液を用いると最も効率良くアイソフォームが分離できた。溶離液に有機溶媒が含有されるためICPMSでオンライン検出するさいカーボンがプラズマインターフェース部に堆積し感度の変動を招く。これを防止するためにキャリアガス中に酸素を約8%の割合で混入させた。このHPLC/ICPMS法の検出限界は110pg(Zn)、13pg(Cd)と従来の原子吸光分析法を用いたものより約3桁低くなった。 この手法により、ZnあるいはCdストレス下で誘導したMTの分析を行ったところ、いずれの金属についても主に2種のアイソフォームが検出された。これら2種のアイソフォーム誘導パターンを重金属濃度を変えて分析したところ、Znでは濃度によらずほぼ一定の比で誘導するのに対し、Cdでは濃度依存性が認められた。さらにアミノ酸組成分析したところシステイン含量に差がみられた。現在これら2種のアイソフォームの性質の違いについて検討している。 その他、培養液中に亜セレン酸、セレン酸が共存すると、重金属によりラン藻体内にMTを誘導したとき、セレンがMT中にセレノシステインの形で取り込まれることを明らかにした。
|