本研究は、DNAのモデル物質としてチミジリルチミジン(以下TpTと略す)を採用し、太陽光によって生成されるチミン2量体量を高性能液体クロマトグラフ(HPLC)法で絶対値として測定する系を用い、有害太陽紫外線量の絶対測定法として確立しようというものである。1993年度の研究によって、経時変化と装置に依存しない、物質固有の不変な性質に依存する絶対的な測定法が確立した。 本年度は、シクロブタン型2量体の生成量を指標とした上記測定法を用いて、毎月2回立教大学4号館の屋上で、11時から17時まで、1時間ごとに有害紫外線量を測定するとともに、5ないし6時間連続照射して積算量も測定した。測定した有害太陽紫外線と、同時測定したUVB量(英弘精機製UVB計)と比較するとともに、気象庁発表の全天日射量とも比較した。得られた結果は以下の通りである。(1)本方法によって、有害紫外線量が比較的簡単に定量的に測定できることがわかった。測定した21日の内で、最小量は最大量にの0.099倍であった。(2)1日の測定では、本方法による有害紫外線量は、UVB量にほぼ比例的に増加した。しかし、比例係数は、6倍ほどの違いがあった。(3)1日の測定では、全天日射量に対しては2次の項が顕著に現れ、日射量が増えるとともに単位日射量あたりの有害紫外線量は増加した。(4)従って、有害紫外線量を測定するためには、本方法のように、DNA損傷を直接測定する方法が、重要になることが分かった。
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