研究課題/領域番号 |
05680472
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研究機関 | 国立公衆衛生院 |
研究代表者 |
荒川 はつ子 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 主任研究官 (90222736)
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研究分担者 |
熊江 隆 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 室長 (40145363)
内山 巌雄 国立公衆衛生院, 労働衛生学部, 部長 (20151897)
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キーワード | NO_2 / 若令ラット / 気道反応性 / 肺胞マクロファージ活性 |
研究概要 |
本研究では、胎児期から代表的大気汚染物質である二酸化窒素(NO_2)暴露を受けたラットの気道反応性および細胞性免疫能を指標としてその影響を検討している。 本年度は、Brown-Norwayラットを用いて、NO_2の連続暴露濃度は2.0と0.5ppmとした。胎児期より暴露する群と、離乳期(5週齢)より暴露する群にわけて、連続暴露を開始し、それぞれ8週齢と12週齢で気道反応性と気管支肺胞洗浄液(以下BALF)中の細胞数におよぼす影響を比較検討し、以下の結果を得た。 1.気道反応性:胎児期より暴露した8週齢では静注したメサコリンに対して末梢気道の感受性が0.5ppm群で有意に亢進していた。一方、離乳期より暴露した群では、8週齢でメサコリンに対する中枢気道の感受性に有意差がみられ、2.0ppm群で亢進していた。しかし12週齢まで暴露を継続すると気道反応性に有意差はみられなくなった。 2.BALF中の細胞数に及ぼす影響:離乳期から暴露して8週齢と12週齢で検討した。細胞数を直径別に計数すると、8週齢では0.5ppm群の方が細胞数が多くなる傾向があった。しかし12週齢になるとその傾向が逆転し、2.0ppm群で各分画において有意に高値を示した。鏡検の結果では好酸球の割合の増加はみられたが、NO_2暴露濃度による違いはみられなかった。次に、胎児期と離乳期からの暴露がBALF中の細胞数におよぼす影響を比較した。離乳期から8週齢まで0.5ppmに暴露した群では、Air群および胎児期から暴露した0.5ppm群に対して比較的小さな細胞の数が有意に増加し、好酸球の割合の増加もみられた。 以上より、比較的低濃度のNO_2暴露の気道反応性への影響は8週齢以下の幼若期に発現しており、小児喘息等の発症との関連性が示唆された。また、暴露量や暴露期間との間に一義的な量反応関係が認められない事が胎児期あるいは離乳期から暴露した場合の特徴かもしれない。 多くの測定結果が得られており、現在も統計的な解析を行っている。
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