研究概要 |
平成5年度より開始された本研究において, (1)通常チオバチラス属細菌を用いた,石炭中の硫黄酸化溶脱反応では約2週間という長時間を要す硫黄化合物の除去が,吸着細菌による界面特性変化に基づく浮遊選別によって,分単位の滞留時間での操作で可能となることが確認できた。 (2)この界面特性を変化させることのできる分離微生物はThiobacillus ferrooxidansと同定できた。 (3)この微生物に硫黄化合物表面への特異的吸着能を与える物質は,細胞表層に形成される糖衣類似の層にあることが,シュウ酸洗浄細胞を用いた吸着実験等で明らかとなった。 (4)吸着機能を与える層は,第二鉄イオン存在下で増殖した細胞のみに認められることが判明した。 (5)微粉砕石炭および細菌吸着後の浮遊選別石炭の粉度分布から、排除限界情報を得た。 そして,当初に計画した研究目的,研究計画・方法に対し, (1)生物的な硫黄酸化溶脱反応で要する硫黄化合物の除去が,細菌吸着によって界面特性を変化させた後,浮遊選別することで,分単位の滞留時間での操作で可能となることを実証でき,そして,その機能物質同定のための生化学的検討が進められたことは,研究目的と合致する。 しかしながら, (2)もう一つの目的である石炭側の鉱物学的情報と重ねる同軸同視野顕微鏡画像の採取システムの準備については,落射型顕微鏡からの画像採取システムは正常稼動するまでにチューニングされたが,蛍光画像採取システムのノイズ処理が平成6年度の継続課題として残された。
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