研究概要 |
日本の土壌から分離された新規なdibenzofuran(DBF)資化菌DBF63株の資化能・分解能の特性を検討し、DBFのほかfluorene(FN)、dibenzothiphene(DBT)、及びdibenzo-p-dioxin(DD)の代謝産物の構造解析を行って代謝経路を推定した。DBF63株はグラム陽性細菌であり、DBFのほか、FN,anthracene,phenothiazine,phenanthreneに生育し、また炭素源存在下でDBT,carbazole,naphthaleneを共酸化した。DBF63株をDBF,FNを炭素源として液体培養した後、上清を酢酸エチルまたはSep-pakにより抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより分離し、GC,GC-MS,NMR,UV,融点測定および元素分析のうち必要なものを行って構造を決定した。その結果DBFの代謝産物としてサリチル酸およびゲンチジン酸が、またFNの代謝産物として9-fluorenol(I),9-fluorenone(II),4-hydroxy-9-fluorenone(IV),1-hydroxy-9-fluorenone(V)が同定・構造決定された。このうち1-hydroxy-9-fluorenoneについては、脱水前の化合物として1,la-hydro-dihydroxy-9-fluorenone(III)の存在が示唆された。以上の結果より、図のような経路を推定した(Fig.1)。また本菌はDBTを酸化してDBTのモノヒドロキシ体を生成した。また本菌の休止菌体はDDを弱く酸化することがわかり、生成物の構造解析を行った。
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