研究課題/領域番号 |
05680487
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池 道彦 大阪大学, 工学部, 助手 (40222856)
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研究分担者 |
岩堀 恵祐 大阪大学, 工学部, 助手 (40183199)
古川 憲治 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029296)
藤田 正憲 大阪大学, 工学部, 教授 (70029289)
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キーワード | ビスフェノールA / ロイコ染料 / 感熱紙 / 古紙再生 / 脱色 |
研究概要 |
OA用紙に含まれるロイコ染料の代表的な顕色剤ビスフェノールA(BPA)を生物分解することにより、古紙再生工程でのパルプの発色を防止するための基礎的検討を行った。BPAを効率よく分解することの出来る細菌株FJ-4株を活性汚泥から分離し、生理特性を調べることにより、Pseudomonas paucimobilisと同定した。ガスクロマトグラフ質量分析計による代謝物分析の結果、FJ-4株は、BPAをそのプロパン部で開裂し、プロトカテキン酸とp-ヒドロキシアセトフェノンとした後、プロトカテキン酸のオルト経路を経由して完全分解していることが示されたが、おそらく酵素の親和性が低いためにプロトカテキン酸を若干培地中に蓄積する傾向を示した。この分解反応のキーとなる最初の開裂に開与している酵素およびその遺伝子については、現在トランスポズンTn5を用いた変異株の解析により検索中である。FJ-4株のBPA分解酵素は構成的に生産されるため、その大量採取には菌体の効率的培養が重要であることが明らかになり、最適温度は30度、pHは7であることがわかった。また、古紙再生への活用の予備検討として、市販の感熱紙をパルプ化して発色させ、これにFJ-4株を添加することで脱色がおこるかを調べたところ、再生工程で添加される各種薬品の共存下でも、長期間試験を継続すればパルプが白色に脱色された。従って、効率のよいFJ-4株(およびその分解酵素)の利用形態を採用すれば、本菌株を用いた古紙再生工程構築が可能であることが示唆された。
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