研究概要 |
水生生物(魚類)および植物(大麦)に対する金属毒性及び金属蓄積性に及ぼす洗剤中の陰イオン界面活性剤(Sodium Lauryl Sulfate,SDS)およびコンプレキサン(EDTA,NTA)を用いて実験を遂行している。金属としては有 害金属のカドミウム(Cd),酸性雨による溶出が問題になっているアルミニウム(Al),化石燃料の高温燃焼に伴う排出が問題のバナジウム(V)を対象にした実験を行っている。その概要は以下のようである。 1.水生生物に及ぼす影響 魚に対する各種の暴露実験による金属毒性は、Cd>AL>Vの順にあり、金属集積は暴露時間、暴露濃度の増大とともに体内蓄積は増加の傾向があり、概して、エラ>内臓>その他>脳の順にあった。これに対し、コンプレキサン共存時では体内への金属蓄積は抑制され、金属の吸収性、残留性が低下することが示唆された。しかし、AlとSDS共存の場合には内臓および脳組織への移行集積が顕著で、電子顕微鏡による形態的検査も遂行している。 2.植物に及ぼす影響 大麦の栽培実験から、金属単独暴露の場合に対し、SDSを服務コンプレキサン共存の場合には地上部(葉)および地下部(根)における金属蓄積濃度に変化が生じることが確認され、動物、植物の種の違いがあるものの金属集積の選択性に変化が生じる点では類似性を有し、そのメカニズムの解明をするために膜を用いた研究に着手している。
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