研究概要 |
これまで新しいNAD(P)^+モデル化合物の有機触媒として,主に5-デアザフラビン及びピリドジピリミジン類を用いて種々のアルコール類に対する酸化反応を実施し,触媒から換算して対応するカルボニル化合類を数千から数万パーセントの収率で得た。平成5年度は,ピリドジピリミジンの5-アザ類縁化合物であるピリミドプテリジン類を有機触媒として用い,種々のアルコール及びアミン類に対して120℃25時間の反応条件で酸化反応を実施し,対応するカルボニル化合物及びイミン類を数千パーセントの収率で得た。本自動循環酸化反応は一般にクロム酸酸化に代表される有毒な無機系酸化剤等に比べ,無公害で毒性が殆どないと考えられることから,省資源的・環境保全的観点から有用な酸化触媒と考える。 一方,5-デアザフラビン類を触媒とするカルボニル化合物(ベンズアルデヒド)のアルコール(ベンジルアルコール)への自動循環還元,即ち,120℃25時間の反応条件で,水素源としてのギ酸で5-デアザフラビンを1,5-ジヒドロ-5-デアザフラビンへと還元し,この還元体でカルボニル化合物をアルコールへ数百から数千パーセントの収率(触媒を基準として)で循環的に還元する還元系も確立した。また,α,β-不飽和カルボニル化合物を基質とした場合は,同様の還元反応条件で,α,β位の二重結合のみが還元された飽和カルボニル化合物のみが特異的に得られた。この際カルボニル基が環元された不飽和アルコール類の生成は全く認められなかった。更に,この自動循環還元系に,ピリドジピリミジン及びピリミドプテリジン類を触媒とする還元反応の反応条件及び種々の応用範囲の検討を現在行っている。
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