研究概要 |
(1)酵母ミトコンドリアのポテンシャルが存在する間は9K蛋白がF1Foに結合していると考えられるので9K蛋白の結合場所をクロスリンカーとウエスタンブロット法を併用して決定した。9K蛋白はゼロレングスのクロスリンカーでは架橋されなかったが,11オングストロームの架橋剤ではアルファサブユニットに架橋された。 (2)最近ウシ心筋ミトコンドリアで9K蛋白を精製することに成功した。このことは動物のミトコンドリアにも酵母と同じ制御系があることを示している。精製したウシのF1と9K蛋白を用いて9K蛋白の結合部位を決定した。9K蛋白はF1のアルファとベータサブユニットの界面に結合するが両サブユニットへの結合比は90%以上アルファサブユニットであった。酵母でもウシでも9K蛋白はアルファサブユニットに結合することが示されたが、ATPase インヒビターが主としてベータサブユニットに結合することを勘案すると9K蛋白とATPase インヒビターは並んでF1のアルファとベータサブユニットの界面に結合していると考えられる。この時9K蛋白はアルファ側に、インヒビター蛋白はベータ側というモデルが一番高い可能性を与える。 (3)ポテンシャルの存在している間は9K蛋白が、ポテンシャルが消失した時にはATPaseインヒビトアーがF1に結合することがわかった。ことことはミトコンドリアのATP合成酵素の活性調節が上記二因子の相互交代で制御されていると結論出来ることをしめしている。
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