研究課題/領域番号 |
05680564
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
阿部 靖子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60089612)
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研究分担者 |
西野 武士 日本医科大学, 医学部, 教授 (40094312)
岡本 研 日本医科大学, 医学部, 助手 (60267143)
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キーワード | 金属フラビン酵素 / キサンチン酸化酵素 / スーパーオキシドデスムターゼ |
研究概要 |
キサンチン酸化酵素は4つの反応中心(1つのモリブドプテリン、2つの非ヘム鉄および1つのフラビン)を有する特異な複合フラビン酵素であるが、酵素反応中これらの反応中心間を電子が伝達されるという分子内電子伝達機構をもつ特異な酵素でもある。したがってより複雑な異分子間電子伝達機構を解析するためのモデルとして興味ある酵素である。また本酵素は生体内ではNADを電子受容体とする脱水素酵素であるが、哺乳類由来の酵素は酵素蛋白部分の修飾により、酸素を電子受容体とし活性酸素種を生成する。活性酸素種はその高い反応性から酸素障害への関与が示唆されており、生体にはこの活性酸素種消去に関与すると考えられるスーパーオキシドデスムターゼが存在している。本年度我々は、次の結果を得た。1)遺伝子組み換え実験により野性型および2つある非ヘム鉄のうちの一方を欠いた変異ラットキサンチン酸化酵素を昆虫細胞を用い発現させた。発現した野性型の酵素、及び変異酵素を電子スピン共鳴法にて解析を行い、その結果、変異酵素は2種ある非ヘム鉄の内の1方に由来するシグナルを欠いていることを確認した。得られた変異酵素の活性を測定し、野性型の酵素との比較を行った。その結果、変異酵素は野性型の酵素と同様、活性酸素を生成しており、この変異酵素で欠失している非ヘム鉄は同酵素の活性酸素生成能には影響を与えていないことがわかった。2)遺伝子組み換え実験により得た野性型および変異型ラットMn-スーパーオキシドデスムターゼの反応速度定数を測定した。本酵素には基質を活性中心へ誘導するためのガイド機構が存在する。29位リジン及び173位アルギニン残基がこの機構において重要な働きを有している。34位チロシン残基は本酵素活性のpH依存性に関与している。
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