研究課題/領域番号 |
05680568
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
千秋 達雄 (財)東京都老人総合研究所, 分子老化学研究系・細胞化学部門, 研究室長 (60072998)
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研究分担者 |
秋山 翹一 (財)東京都老人総合研究所, 分子老化学研究系・細胞化学部門, 研究助手 (10110024)
浅賀 宏昭 (財)東京都老人総合研究所, 分子老化学研究系・細胞化学部門, 研究員 (80231877)
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キーワード | ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / 脱イミノ化タンパク質 / アストログリア / 活性酸素 / 表皮細胞 / 角化 |
研究概要 |
ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)は、Ca^<2+>存在下でタンパク質のアルギニン残基を脱イミノ化する酵素であるが、その生理的意義はまだ明らかでない。本研究では、PADがいずれ死に至る細胞で活性化され、周囲の細胞にも波及効果を及ぼしうるという作業仮説を下に、以下のような検討を行なった。 1.灌流ラット脳におけるPADの活性化:ラットを麻酔下で保温したフルオゾール(高酸素溶解能を有する過フルオロ化合物の乳濁液)で全身灌流後、大脳中の脱イミノ化タンパク質の出現をウエスタンブロット法、及び免疫細胞化学的方法で調べた。高酸素・有グルコース条件で灌流するとほとんど脱イミノ化タンパク質の出現が認められなかったが、低酸素・無グルコース条件では灌流時間経過に従って多数の脱イミノ化タンパク質のバンドが出現した。組織切片上でも、アストログリア(PAD局在)のほか、扁桃核の神経細胞に脱イミノ化タンパク質陽性を示すものが認められた。以上の結果から、低酸素・無グルコース負荷下ではアストログリア中のPADが活性化され、生じた脱イミノ化タンパク質が一部の神経細胞にも出現することが分かった。 皮膚とその付属器官に存在する脱イミノ化タンパク質の性質と局在:ラット足裏皮膚か凍結法で剥離した角層外層のタンパク質をウエスタン法で調べたところ、55K〜77Kに部分的にケラチンと対応する複数の脱イミノ化タンパク質が検出された。これらのバンドは体毛の密生したラット成体の皮膚には認められなかったが、幼若ラットや成体でも除毛一週間後の皮膚には65Kのバンドが認められた。脱イミノ化タンパク質は角層に局在がみられ、体毛で保護されていない皮膚で、表皮細胞の角化に伴って活性化されたPADの働きで出現することが示唆された。二次元ウエスタンブロット法による脱イミノ化タンパク質の動態解析を進めている。
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