マウス胎児10.5日cDNAライブラリーより分離した新しい遺伝子Brain Forkheadは胎児期において重要な役割を果たしていることが期待される。そこで、胎児期9.5日から13.5日までのRNAと出生後の各組織のRNAをノーザンブロット解析した結果、Brain Forkheadは胎児期に強く発現しており、出生後はほとんど発現していないことが明らかになった。さらに、RNase防護法を用いて、胎児期9.5日が最も強く発現しており、以後減少することが見いだされた。in situハイブリ法を用いて組織分布を詳細に検討した。胎児期9.5日ではsomiteに発現し、以後脊椎骨、四肢骨、頭蓋骨などの軟骨組織と腎臓皮質に強くそのmRNAが検出された。以上の結果より、新しい遺伝子は軟骨や腎臓の形成に重要な役割を担っていることが強く示唆された。 Brain Forkhead cDNAから予測されるアミノ酸配列の特徴を見てみると、N末側にフォークヘッドドメインが存在し、C末側にはプロリン、ヒスチジンに富む転写活性化ドメインと推定される領域が認められた。このcDNAのopen reading frameを大腸菌発現ベクターpET-3cに組み込み、大腸菌で組換えBrain Forkhead蛋白をつくり、ウサギに免疫し抗体を得た。また、ウサギreticulocyte lysateで作製した組換えBrain Forkhead蛋白はHNF3蛋白の結合するDNA配列にも結合することが判明した。 マウスゲノミックライブラリーをcDNAをプローブとしてスクリーニングして、合計21個の染色体遺伝子のクローンを得た。エキソン・イントロン境界を決定して、遺伝子の基本的構造を明らかにした。
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