シュードモナス菌のTOLプラスミドによって支配をうけるキシレン分解系酵素群の誘導合成の過程には、アクチベーター蛋白XylSの誘導合成という一種のカスケード機構とも言える正の発現調節が関与している。 本研究では、XylS蛋白がどのような機構でキシレン代謝の下流オペロンの転写を活性化するかを明らかにすることを目的として実験を行なっている。 まず、第2オペロンの転写活性化に必要なDNA領域を明らかにするため、エクソヌクレアーゼ処理により約20種の転写調節領域の欠失変異プラスミドを作製した。これらのプラスミドをそれぞれ大腸菌内で調節遺伝子xylSをもつプラスミドと共存させ、誘導物質トルイル酸存在下で第2オペロンのプロモーター活性を測定した。その結果、転写開始点の上流-80bpから-30bpの間のDNA領域が転写の活性化に必要なことが明らかとなった。 XylS蛋白の大量増産をはかるためxylS遺伝子をバキュロウイルス由来の発現ベクターに組み入れた。現在、宿主細胞の培養および形質転換の条件などの検討を行なっている。 また、細胞内でのXylS蛋白の第2オペロン上の結合領域を決定するため、ジメチルスルフェイトによるin vivoフットプリント法による解析も試みている。
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