1。抗リゾフォスファチジン酸(LysoPA)モノクロナル抗体の作製 細胞増殖、転移におけるLysoPAの役割を解明するため、まずLysoPAに対する抗体を作製した。得られた抗LysoPA抗体のサブクラスはIgG2bで、フォスファチジン酸を始め、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールなど他のリン脂質との交叉性はなかった。この抗体によるTLCイムノステイニングにより10-500pmolの範囲でLysoPAの定量が可能であった。 2。血清中におけるLysoPAの定量 血清は最強のマイトジェンであるが、それがどの増殖因子に由来しているかは明らかではない。そこで強力なマイトジェンとして報告されているLysoPAが血清中の主な増殖因子である可能性について検討した。血清中からLysoPAを抽出し、抗LysoPA抗体による定量を行なった所、血清中には10-50mMのLysoPAが存在していることが明らかになった。この濃度はin vitroでの線維芽細胞の増殖には十分でありLysoPAが血清中の主な増殖因子の一つであることが判明した。
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