研究概要 |
ヒト染色体セントロメア領域において形成されるセントロメア特異的な高次構造をDNAと蛋白質の相互作用の観点から解明するために以下の研究を行った。(1)ヒトと同じ霊長類に属するアフリカミドリザル(AGM)由来のCENP-B遺伝子をクローン化し、その全塩基配列(^〜2kbase)を決定した。CENP-BのDNA結合領域及び二量体形成領域はヒトとAGMとで100%一致していたが、セントロメア上のCENP-Bの存在様式は大きく異なることを示唆する結果を得た。(2)ヒトCENP-Bと3.5^〜3.8kbpの長いDNAを用いてin vitro結合反応を行い、CENP-BがCENP-B box一個を持つDNAに対しては二分子のDNAを束ね、CENP-B box二個を持つDNAに対してはループ構造を形成することを明かにした。αサテライトDNA、コアヒストン、CENP-B三者複合体のin vitro形成に成功し、その複合体の構造を解析した。ミクロコッカルヌクレアーゼ(MNase)フットプリント解析を行いCENP-Bがコアヒストンと相互作用することによりヌクレオソーム構造のポジショニングを引き起こす機能を持つことを示す結果を得た。これはセントロメア特異的なヌクレオソーム構造を解明する上で極めて重要な発見である。(3)ヒト染色体セントロメア領域を特異的に認識するヒストンH3様蛋白CENP-Aを大量精製しアミノ酸配列の一部を決定した。CENP-Aの可溶化に関する研究を行い、コアヒストンにCENP-Aを組み込ませ複合体形成を行うことを可能にした。今後CENP-Aを含むコアヒストンとDNA,CENP-B複合体形成を行いその構造解析を行う。
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