研究課題/領域番号 |
05680608
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鶴留 雅人 三重大学, 医学部, 助教授 (50159042)
|
研究分担者 |
松村 治雄 三重大学, 医学部, 助手 (10229536)
河野 光雄 三重大学, 医学部, 助手 (00234097)
|
キーワード | 膜融合 / インフルエンザウイルス / パラインフルエンザウイルス / フォトクロスリンク / 中和抵抗性変異株 |
研究概要 |
1.脂質膜内にHydrophobic Photoreactive Probeを組み込んだリポゾームを作製し、これをインフルエンザウイルス粒子と結合させて酸性化したところ、その直後にごく一部のHA蛋白のFusion Peptideがリポゾーム膜に挿入され、引き続いて膜融合が起こることが判明した。また、膜融合の進展とともに挿入されるFusion Peptideの量は増加し、その量は最終的には少なくとも全HA分子の26%に達していた。Fusion Peptideの挿入量の増加はウイルス膜への挿入を反映している可能性も高く、膜融合における蛋白の分子動態を考察する上で極めて重要な情報が得られたと考える。中性状態でウイルス粒子にHydrophobic Photoreactive Probeを取りこませてウイルス蛋白のウイルス膜での存在様式を比較したところインフルエンザのHA蛋白は一箇所、パラインフルエンザウイルスSendaiのF蛋白は少なくとも二箇所で膜に結合していることが示唆された。F蛋白の場合には、中性環境でウイルス膜にFusion Peptideが挿入している可能性のあることが注目される。 2.パラインフルエンザウイルスHPIV2による細胞融合を抑制する活性をもつ抗HNモノクローナル抗体に対する中和抵抗性の変異ウイルス株を4つ得た。アミノ酸の変異はいずれの株も二箇所ずつであり、それぞれ83-91および150-186の領域に存在した。変異株の一つは細胞融合能が著明に低下していた。この変異株のF蛋白のアミノ酸配列は親株のF蛋白と同一であることが判明したので、細胞融合能の低下はそのHN蛋白のアミノ酸変異(N83YおよびM186I)に起因するものと考えられた。この成績からHN蛋白上の細胞融合関連領域が膜結合領域の近傍に存在することが判明したことは、キメラHN蛋白の解析にとって非常に有用な知見であると思われる。
|