本研究では、細胞周期におけるサイクリンの調節機能を担うサイクリン蛋白質の機能ドメインをin vitroとin vivoで解析した。平成5年度は、(1)サイクリンの分解に関するドメインの解析と(2)サイクリン/cdc2蛋白質複合体の安定性ついて、平成6年度は、(3)Xenopusサイクリンの酵母への導入とその発現、に関する研究を中心に行った。 (1)サイクリンA及びサイクリンBのN末端ドメインに各種の欠失変異、置換変異を挿入し、その改変サイクリンのcdc2結合能と分解能を解析した。その結果、N末端のストラクションボックスが分解に必要な配列であること、サイクリンのM期にプログラムされた分解にはcdc2と結合してサイクリン/cdc2複合体を形成することが必要なことが明らかになった。 (2)細胞周期におけるサイクリン/cdc2蛋白質複合体の安定性に関する生化学分析を行ない、この複合体は細胞周期を通じて安定であることが明らかになった(サイクリンB/cdc2複合体の半減期は15時間)。 (3)XenopusサイクリンAcDNAとそのサイクリンボックス変異体および分解ボックス変異体をそれぞれ出芽酵母の発現ベクターにつないでガラクトース誘導により酵母内で発現させると、サイクリンAの発現により酵母細胞周期はS期でブロックされた。cdc28と結合できない変異体を過剰に発現させても成育阻止は見られないことから、XenopusサイクリンAが酵母CDC28と結合して細胞周期が止っていることが示唆される。
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