研究課題/領域番号 |
05680618
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉村 昭彦 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90182815)
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研究分担者 |
原口 みさ子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10244229)
住澤 知之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90206582)
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キーワード | エリスロポエチン / 受容体 / 情報伝達機構 / 活性化 / キメラ分子 / 分子生物学 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
研究概要 |
我々はエリスロポエチン(EPO)受容体の活性化機構を解明する目的でチロシンキナーゼ型受容体(EGF受容体)の細胞外ドメインとEPO受容体細胞内ドメインのキメタ分子を作成しその機能を解析した。インターロイキン3に依存して増殖する細胞やエリスロポエチンに応答して分化する細胞にキメラ分子を導入したところ、キメラ分子はリガンド(EGF)に依存して2量体化し、細胞増殖および細胞分化(グロビンの合成)を誘導することがわかった。またその際におこる細胞内蛋白質のチロシンりん酸化のパターンは野生型EPO受容体で起こるチロシンりん酸化とほぼ同一であった。したがってエリスロポエチン受容体はリガンドに依存した2量体化によって活性化され、その細胞内ドメインに増殖、分化、チロシンりん酸化のスグナルを発生するのに必要十分な機能がそなわっていることが明らかとなった。興味深いことにEPO受容体の細胞内ドメインのC末端半分の約100アミノ酸残基を削ると、むしろ強く増殖や分化を誘導するようになつた。したがって分化のスグナルに必須の領域はEPO受容体細胞内ドメインの膜に近い約120アミノ酸の範囲にあり、増殖のスグナルに必須の領域とオーバーラツプしておりC末端半分はそれらのシグナルを負に調節していることになる。最近、ヒトの遺伝性赤血球増多症の家系で同様のC末端の欠失が見つかっており、やはりC末端にはEPO受容体のシグナル伝達を負に調節する機能があると思われる。その制御機構の解明が待たれる。
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