新しい免疫グロブリンスーパーファミリーに属するポリオウイルスレセプター(PVR)の生理的な機能を明らかにするために今年度は特にPVRのマウスホモログ(mPVR)に焦点を絞り、1)mPVRリコンビナントタンパク質の大量発現、2)抗mPVRモノクローン抗体の作製、3)mPVR強制発現細胞株の樹立を行いこれら材料を用い、4)mPVRが細胞間の接着に関与しているか検討した。 1)mPVRとイムノグロブリンFc領域との融合タンパク質(mPVR-Ig)をバキュロウイルスの系を用い大量発現し、Protein A、FPLCで精製した。蚕300匹より約100mgのリコンビナントタンパク質が精製できた。 2)精製したmPVR-Igをラットあるいはハムスターに免疫し常法に従いモノクローン抗体を作製した。IgGクラスのモノクローン抗体を約20クローン確立した。 3)得られた抗mPVRモノクローン抗体を用い各種培養細胞株におけるmPVRの発現を調べたがその発現量は少なかった。そこでmPVRの機能を調べる目的でmPVRを大量に発現しているステーブルトランスフォーマントを作製した。マウスL細胞、HeLa細胞に膜貫通型のmPVRを発現させたクローンを選択した。 4)得られたmPVRステーブルトランスフォーマントはコントロールの親株に比べ顕著に細胞凝集活性が上昇しており、この細胞凝集は抗mPVRモノクローン抗体で阻害された。また、これら細胞上でmPVRは細胞間の接触部位にのみに局在しており、これらの事実よりmPVRが細胞間の接着タンパク質であることが示された。
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