1.マイクロコッカルヌクレーアーゼ感受性を指標にして、発生過程を追ってクロマチン構造の変化を調べた。その結果、以下のことが明らかになった。(1)転写開始前から転写時期にかけて、転写開始点から約0.5kb上流までの幅広い範囲にわたってヌクレオソーム構造をとっておらず、転写している組織が限定されてくる時期、すなわち転写を終結した細胞が現れる時期にはヌクレオソーム構造をとる。(2)0.5kbより上流はヌクレオソーム構造をとっているが、-2.5kb〜-2.3kbでは発生過程を通じて400塩基のバンドはみられたがヌクレオソーム構造の基本である200塩基のバンドがみられなかった。この領域にはTopIIの認識サイトとそれに続くAT-richな配列があることから、この部分で核マトリクスに結合しているものと考えられた。 2.DNAの高次構造を認識して結合するタンパク質性因子のcDNAをサウスウエスタン法によりクローニングした。Ars遺伝子の上流-2.0kb〜-1.5kbには片側鎖がホモピリミジンの領域があり、3本鎖DNA構造をとる可能性が示唆されている。この領域に結合する因子をクローニングするるために合成ポリdG-dCをプローブとしてサウスウエスタン法によりウニ原腸胚λgt11発現ライブラリーをスクリーニングしたところ、4個のクローンが得られた。アミノ酸配列は酸性アミノ酸のAspまたはGluと塩基性アミノ酸のLysまたはArgの繰り返しがあり、U1RNPの一部と高い類似性があった。これらの因子が3本鎖DNA構造を認識して結合する可能性があるので、確認を急いでいる。 3.Xenopus oocyteの中でクロマチンを再構成させ、遺伝子を発現させた。
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