研究概要 |
上丘浅灰白層のII_1,_2層、視蓋前域視索核はそれぞれ小型の網膜神経節細胞(W細胞)からの入力線維を受け、同じくW細胞の軸索が終止する外側膝状体背側核小細胞部に出力線維を送っている。外側膝状体背側核小細胞部は膝状体視覚系と非膝状体視覚系の接点と考えられ、W-cell visual pathwayのかなめともいえる部位である。W細胞には形態学的に少なくとも2種類のサブクラス(中等大細胞体をもつW_1細胞と小型の細胞体をもつW_2細胞)が報告されているが、どの様なタイプのW細胞が外側膝状体、上丘、視蓋前域に投射するのか、不明であった。本研究は遅延標識法を用いて、外側膝状体、上丘、視蓋前域に線維を送るW細胞のサブタイプの形態を解析した。 1.外側膝状体背側核小細胞性C層に投射する網膜神経節細胞は樹状突起を数本もち、細胞体の平均直径は15μm前後であった。 2.上丘のII_1,_2層に投射する網膜神経節細胞は細胞体の平均直径が10μm前後であった。樹状突起は外側膝状体背側核小細胞性C層に投射する網膜神経節細胞のそれと同様の形態を示した。 3.視蓋前域の視索核に投射する網膜神経節細胞は細胞体の平均直径が15μm前後であり、その形態は外側膝状体背側核小細胞性C層に投射する網膜神経節細胞に酷似していた。 4.これらの結果から、外側膝状体背側核小細胞性C層および視蓋前域視索核にそれぞれ投射するのは中等大細胞体をもつW_1細胞であり、上丘II_1,_2層に投射するのは小型の細胞体をもつW_2細胞と考えられる。
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