研究概要 |
前年度(平成5年度)研究実績 1)線条体,側坐核の神経細胞分離培養の確立,2)分離線条体神経細胞および黒質神経細胞に対するグリア細胞の標的特異性の解析,に続いて本年度(平成6年度)は以下の研究を行った. 3)分離培養におけるGABA作動性神経とドーパミン(DA)作動性神経のシナプス形成:先に我々が開発した黒質分離培養は,培養ニューロンの大部分がDAニューロン(約40%)とGABAニューロン(約40%)で構成されている.DA合成酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)またはGABAに対する免疫組織化学を用いた電子顕微鏡観察により,両者は相互にシナプス形成を行うことが示唆された.黒質-線条体などの混合培養系におけるシナプス形成率の定量的解析は今後の課題として残されている. 4)線条体における一酸化窒素(NO)合成ニューロンとDA終末の関係:近年,神経伝達物質としてのNOの作用が注目されている.線条体においてはNMDAリセプターを介したNO産生によるDAの放出が薬理学的に示唆されており,この形態学的根拠を明らかにするために,NADPH-diaphorase(NO産生ニューロンマーカー)組織化学とTH-免疫組織化学を組み合わせた電子顕微鏡観察を行った.その結果,NOニューロンに対するシナプス入力は少ないが,DA終末の多くがグルタミン酸作動性と考えられる終末(線条体投射ニューロンスパインと非対称性シナプスを形成)と供に,NOニューロンに直接接触しており,その部位が興奮性アミノ酸によるNO産生,DA放出機構を裏付ける構造であることが示唆された.
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