研究課題/領域番号 |
05680672
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
武田 龍司 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80020791)
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研究分担者 |
櫨 彰 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50228433)
百瀬 弥寿徳 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (50020813)
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キーワード | 呼吸中枢 / 呼吸リズム / 神経伝達物質 / NMDA-受容体 / GABA-B受容体 |
研究概要 |
迷走神経性入力を遮断したネコに、興奮性アミノ酸受容体サブタイプの一つであるNMDA-受容体のアンタゴニスト(dizocilpine,ketamine)を静脈内に投与すると、呼吸中枢活動の周期が変化して吸息性放電が著しく延長した持続性吸息(apneusis)となる。この現象は、呼吸リズム形成機構における吸息から呼息への切り替え(吸息オフ・スイッチ;IOS)が遅延したためであり、このプロセスにNMDA-受容体が関与していることを示している。呼吸中枢神経回路においてIOSに関連する二つのタイプのニューロン、呼吸性ニューロンと漸減型呼息性ニューロン、の細胞内電位および入力抵抗測定の結果、NMDA-受容体遮断によるapneusisでは、両タイプのニューロンともに活動相(脱分極)ならびに非活動相(過分極)電位の振幅が減少し、入力抵抗が著明に増加することが判明した。この事実から、NMDA-受容体はこれらのニューロンの活動期と非活動期のいずれにも関与しており、前者は記録ニューロンに対する直接作用であり後者は前シナプス性抑制性介在ニューロンを介する間接作用によるものと考えられた。一方、apneusisはGABA-B受容体アンタゴニスト(baclofen)の静脈内投与でも発現することから、IOSにはGABA-B受容体を介する伝達機構も関与する可能性が高い。本年度は、baclofenについても、呼吸中枢ニューロンに直接適用して、シナプス後膜に対して抑制作用を示すことを明らかにした。さらに、NMDA-受容体チャンネルを活性化する脱分極性電位の発生機序の一つとして、high-voltage-activated calcium-currentsの存在を強く示唆する成績を得た。
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