GABA_B受容体に対する特異的なモノクローナル抗体の作製は、バクロフェンアフィニティクロマトグラフィにより部分精製した標品を免疫原として用いて行った。得られたモノクローナル抗体は分子量8万のシナプス膜蛋白質を特異的に認識した。さらにこのモノクローナル抗体は可溶化したシナプス膜より、分子量8万の蛋白質を吸着し、また酸性条件下でこの抗原を抗体結合ビーズより溶出させることができた。これに加えてこのモノクローナル抗体はGABA_B受容体へのGABA結合を直接阻害することがわかった。 阻害の様式を更に詳しく調べたところ、阻害が現れてくるのに長いインキュベーション時間が必要であり、また大量の抗体を必要とするが、抗原決定基はシナプス膜の表側にあり、一分子の受容体蛋白質に一分子のモノローナル抗体が結合しただけでほぼ完全な結合阻害がみられることがわかった。また、結合した後、この抗体はアンタゴニストとして働き、受容体からエフェクターへのシグナル伝達を遮断することが明らかとなり、この抗体の脳内局所注入により神経回路網におけるGABA_B受容体の機能を遮断する実験の基礎的結果が得られた。
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