研究課題/領域番号 |
05680689
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
渡辺 和忠 (財)東京都老人総合研究所, 実験生物学部門, 室長 (70114717)
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研究分担者 |
細矢 博子 (財)東京都老人総合研究所, 実験生物学部門, 助手 (00158841)
小林 悟 (財)東京都老人総合研究所, 実験生物学部門, 研究員 (20100117)
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キーワード | F3 / F11 / コンタクチン / 免疫グロブリン・スーパーファミリー / GPIアンカー / 神経接着分子 / In sitn ハイブリダイゼーション / 脳の発達 |
研究概要 |
神経接着分子F3の発現パターンを明らかにするために、ラットの脳を用いたin situハイブリダイゼーション法を行った。先ず昨年度クローニングしたウシのF3cDNAをプローブとしてラットの脳からF3のcDNAをクローニングし、その塩基配列を決定した。その結果、ラットF3は1021アミノ酸残基からなり、マウスF3とアミノ酸配列で99%の類似性があった。このcDNAの一部をpGEM3ベクターに組み込みcRNAプローブを合成して、in situハイブリダイゼーションを行ない、ラットの脳の発達段階におけるF3の発現を調べた。胎児期や出生直後(PO)の大脳ではF3の発現はほとんど認められなかったが、生後7日目になると大脳皮質の第5層でのみ非常に強い発現が認められた。生後14日目頃には発現量が最も多くなり、大脳皮質全体、海馬、視床、下丘、上丘など広範に認められた。その後、成体(P90)でもその発現パターンは変化しないが発現の量は減少した。海馬でのF3の発現はその発達段階に依存して発現に変化が認められた。生後7日目から14日目の海馬歯状回の顆粒細胞層ではF3は外側の細胞層でのみ発現が見られたが、内側の層ではほとんど発現していなかった。一方、成体になると顆粒細胞層全体でF3の発現が認められた。海馬顆粒細胞細胞層は出生後も分裂しており、外側の層は先に分裂を終えた細胞層で内側は後か分裂した細胞であることが知られている。F3は先に分裂した細胞でのみ発現しており、成熟神経細胞において機能しているものと考えられた。
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