研究課題/領域番号 |
05680706
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029)
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研究分担者 |
松島 俊也 上智大学, 理工学部, 助手 (40190459)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | フィンチ類 / 歌 / Undirect song(US) / Direct song(DS) / エストラジオール / テストステロン / HVc核 / RA核 |
研究概要 |
本研究は、鳴鳥の歌の結晶化の過程と歌の機能的役割について明かにすることを目的とした。フィンチ類のキンカチョウ・ジュウシマツは、歌を指標として、脳の発声系中枢神経核の発達と形成、またホルモン制御作用を調べるのに好材料である。特に歌の形成は学習によるもので、学習における神経核の発達とホルモン制御を神経行動学的に明かにすることが期待される。本研究はまず、1.歌の発声系中枢神経核が個体発声における発達段階において、行動発現と併せてどのように形成されるかを雄のジュウシマツを材料として調べた。2.キンカチョウの発声系中枢神経核の発達に伴って、発現する歌行動とホルモン(エストラジオールとテストステロン)の働きについて明かにした。3.キンカチョウの性行動において、雌が雄をどんなリリーサーによって認知するかを歌行動とホルモンの働きから明かにした。具体的成果は、Undirect song(US)(間接歌)とDirect song(DS)(直接歌)とホルモン制御についてである。USはエストラジオールの血中濃度が上昇した後、歌の練習時にあたるふ化後約40日に始まり、DSはふ化後約60〜70日間の一時的なテストステロンの上昇後のふ化後約80日で歌われた。ふ化後40日頃は歌の発声中枢神経核の機能は完成されていない発達段階である。従って、エストラジオールの働きが神経核の発達を維持している。約80日になるテストステロンの分泌が上昇して、歌の発声中枢が完成し、活性化されて完全な歌行動を解発した。エストラジオールは雌の性行動にも必要で、血中濃度の上昇に伴って求愛ディスプレー(ソリシテション行動)が活性化される。興奮性神経毒カイニンによるHVc核及びRA核の破壊により各核の歌形成の役割を明かにした。HVcとRAは歌の異なる要素をencodeしている。
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