研究課題/領域番号 |
05680722
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 元博 九州大学, 医学部, 教授 (90038638)
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研究分担者 |
桑原 康雄 九州大学, 医学部, 助手 (30150436)
一矢 有一 九州大学, 医学部, 講師 (00117425)
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キーワード | PET / 脳血流量 / 随意運動 / 大脳基底核 / 皮質運動野 / 補足運動野 / パーキンソン病 / 無侵襲脳機能検査 |
研究概要 |
本研究の目的はPETを利用して随意運動の脳機序に対する大脳基底核の関わりを研究することである。従来の研究の多くは健常者における大脳皮質活動性の変化について検討しているが、この変化には大脳基底核の活動が影響していることは明らかである。従って、本研究では大脳基底核疾患患者における所見を健常者と比較することに主眼を置いている。 平成5年度は手指の単純対立運動と複雑対立運動における局所脳血流量(rCBF)の変化の相違を明らかにすることを当初の目的とした。しかし、パーキンソン病患者では複雑対立運動を十分に行えないものがあり、患者2例の検討では安定したrCBFの変化をとらえにくいことがわかった。従って当初の計画を変更して、第二年次以降の計画である手指の単純対立運動を自己ペース(AUT)で行う場合と、外部駆動ベース(EXT)で行う場合のrCBF変化の相違を健常者群と患者群で比較することにした。rCBFは[^<15>O]H_2Oの急速静注法により測定し、随意運動時と安静時のrCBFの差を随意運動時のrCBF増加分として、健常者2例、パーキンソン病1例において検討した。 健常者ではAUT,EXT 課題ともに運動指と対側の運動・感覚野および前頭葉正中部(補足運動野または前帯状回)のrCBF増加が認められ、EXTとAUT の差し引きではrCBFの差を認めなかった。一方、パーキンソン病患者ではEXTでは健常者と同一所見を示したのに対し、AUT では前頭葉正中部の増加がなく、(EXT-AUT)画像でこの所見が確認された。患者も AUT時には運動がしにくいといい、対立運動の速度も低下していた。この所見は今後症例数の追加によって確認されねばならないが、内部駆動運動に対して大脳基底核障害が随意運動の皮質機序の一部、とくに補足運動野活動を駆動しにくくしている可能性が示唆される。
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