研究課題/領域番号 |
05680722
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 元博 九州大学, 医学部, 教授 (90038638)
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研究分担者 |
桑原 康雄 九州大学, 医学部, 講師 (30150436)
一矢 有一 九州大学, 医学部, 講師 (00117425)
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キーワード | PET / 脳血流量 / 随意運動 / 大脳基底核 / 皮質運動野 / 補足運動野 / パーキンソン病 / 無侵襲脳機能検査 |
研究概要 |
目的:随意運動に対する大脳基底核の関わりを研究するために、パーキンソン病など大脳基底核障害患者の随意運動による脳活動状態を[^<15>O]H_2O法による局所脳血流量を指標としてPETで測定し、健常人と比較した。対象と方法:健常人2例(56歳、66歳)、パーキンソン病患者4例(47〜62歳)、ハンチントン病患者1例(26歳)の検査を行った。パーキンソン病は中〜重症例で、1例は脳定位的後腹側淡蒼球凝固術による治療前後の所見を比較した。随意運動課題は1側手指を屈曲位からできるだけ迅速に強く伸展させるもので、これを約1.5秒に1回の自己ペースで行わせる場合(AUT)と、不規則な間隔の音刺激に従って行わせる場合(EXT)の2種を採用した。血流の増加は随意運動時のPET画像から安静時画像を差し引くことにより、視察的に測定した。結果:健常人では運動手指と反対側の皮質運動・感覚野(SM-Cx)と補足運動野または前帯状回(SMA)の血流増加が認められ、AUTとEXTの間には差異を認めなかった。ハンチントン病患者でも健常者と同じ所見が得られた。中等症のパーキンソン病の1例でも対側SM-Cxの血流増加が得られたが、AUTではSMAの増加がEXTより少なく、運動自体もEXTの方が容易かつ振幅も大であった。重症の3例では程度の差はあるが、対側のみならず運動と同側のSM-Cxの血流増加がみられるのが共通しており、SMAの血流増加はEXTで著しい傾向があった。術後の検査ができた1例は臨床的改善がみられ、同側SM-Cxの増加が減弱し、SMAの増加も術前より顕著になっている傾向があった。考察:パーキンソン病における大脳基底核障害時には随意運動中の皮質活動の変化が生じており、とくに運動と同側のSM-Cxの活動も増加しているようである。今後症例を追加すると共に定量的解析を行なう予定である。
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