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1993 年度 実績報告書

上行性賦活系としての脳幹アセチルコリンニューロンにおける共存伝達物質の機能的意味

研究課題

研究課題/領域番号 05680725
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

香山 雪彦  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30035224)

研究分担者 二宮 治重子  福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00136970)
小山 純正  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80183812)
伊藤 正省  福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (30004609)
キーワードアセチルコリン / 外背側被蓋核 / 上行性賦活系 / 外側膝状核 / 脳血流 / レーザードプラ血流計 / 共存伝達物質
研究概要

脳幹の外背側被蓋核は上行性に視床や前脳基底部に広範に投射するアセチルコリン作動性ニューロンの密集している核である。この核を電気刺激すると視床の中継核である外側膝状核の中継細胞は興奮することが知られているが、その刺激が、その部の血流をどのように変化させるかを、レーザードプラ血流計のプローブを外側膝状核の直上まで刺入することにより調べた。実験は血圧の変化による影響の混入を避けるために上部頚髄を切断したウレタン麻酔下のラットを用いて行った。外背側被蓋核をくり返し電気刺激すると、外側膝状核の血流は数秒後から増加し、刺激をやめると1分近くかかってもとのレベルに戻った。同様の増加は細胞体のみを興奮させるグルタミン酸溶液の注入による化学的刺激でも生じるため、この効果は外背側被蓋核付近を通過する神経線維を刺激したことによるものではない。また電気刺激による血流の増加はムスカリン受容体拮抗薬であるスコポラミンの投与により強く押さえられたことから、外背側被蓋核ニューロンの軸索からアセチルコリンが放出されることによって起こったものであることが示唆される。ただし、アセチルコリン作動性ニューロンが直接に血管を支配しているのか、外側膝状核ニューロンの興奮によって生じた代謝産物の増加による二次的なものなのかは結論できない。また、スコポラミンに加えてニコチン受容体拮抗薬であるメカミラミンを投与しても、外背側被蓋核刺激による血流増加はわずかに残り、これが共存伝達物質によるものであることを考えてそれを証明しようとする実験を行ったが、動物の状態が安定しないなどの技術的な困難にぶつかり、成功しなかった。
平行して行ったスライス標本での実験はようやく安定して記録できるところまで実験システムを確立し、アセチルコリンで脱分極が生じるところまで確認した。研究期間である来年度までには完成させられるであろう。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Y.Koyama and Y.Kayama: "Mutual interactions among cholinergic,noradrenergic and serotonergic neurons studied by ionophoresis of these transmitters in rat brainstem nuclei" Neuroscience. 55. 1117-1126 (1993)

  • [文献書誌] 香山雪彦,小山純正: "睡眠・覚醒にかかわる脳幹部の神経機構" 日本生理学雑誌. 55. 1-14 (1993)

  • [文献書誌] 香山雪彦: "原著を探る「網様体賦活系」" クリニカル ニューロサイエンス. 11. 1294-1295 (1993)

  • [文献書誌] 岩崎祥一、浄土英一,香山雪彦: "動物の意識と注意" 脳と精神の医学. 4. 395-407 (1993)

  • [文献書誌] 香山雪彦: "「脳幹:科学の最前線」の中「意識と覚醒の神経機構」" プレーン出版(板倉徹,前田敏博編), 155(12) (1993)

  • [文献書誌] Y.Koyama and Y.Kayama: "「Sleep-Wakefalhess」の中「Porticipation of the laterodorsal tegmcntal cholinergic neurons in induction and maintenance of paradoxical sleep」" Wiley Eastern(Editors,V.M.Kumar,H.N.Mallick and U.Nahar), 232(7) (1993)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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