研究課題/領域番号 |
05680725
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
香山 雪彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30035224)
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研究分担者 |
二宮 冶重子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00136970)
小山 純正 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80183812)
伊藤 正省 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (30004609)
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キーワード | アセチルコリン / 外背側被蓋核 / サブスタンスP / 一酸化窒素 / 共存伝達物質 / 脳血流 / 外側膝状核 |
研究概要 |
脳幹の外背側被蓋核のアセチルコリン(ACh)ニューロンは一酸化窒素(NO)やサブスタンスP(SP)などの共存伝達物質を含有していることが知られており、今年度の研究では、これらの共存伝達物質がAChと共に軸索終末から放出されるか、また、それらはシナプス後細胞に対するAChの作用を修飾するかを調べた。 まず、外背側被蓋核を電気刺激した特にその主たる投射先である視床でNO濃度が上昇するかどうかを、塩野義研究所で開発されたNO電極を用いて、ウレタン麻酔下のラットで調べた。視床に記録電極を固定して5〜10分おきにNO濃度を測定すると、刺激電極が外背側被蓋核にある時にのみ、刺激直後にNO濃度が1.2〜1.8倍に増加した。この増加は刺激の強さに相関していた。また、NO合成酵素阻害作用を有するL-ニトロアルギニンを静脈内投与すると、基礎的なNO濃度は低下した。このような結果から、外背側被蓋核のAChニューロンは、興奮によりその軸索終末からAChと同時にNOを放出するものと考えられる。 共存伝達物質がシナプス後細胞に作用するか否かは、ラット脳のスライス標本を用いたin vitroの実験で調べた。視床ニューロンは灌流液中に混じて作用させたAChにより脱分極するものが多い。SPにより膜電位が変化(脱分極)したのは10%ほどのニューロンだけで、それらのニューロンではAChとSPを同時に作用させると、どちらか一方だけの時よりも強い脱分極得られた。SPにより膜電位の変化しないニューロンの中に、AChと同時に作用させるとAChの作用を打ち消して膜電位変化がほとんど起こらないようにする作用の見られたものがかなり存在した。このように、共存伝達物質であるSPは主伝達物質AChの作用を修飾するが、その修飾はニューロン毎に異なる複雑なものと考えられる。NOの作用については、残念ながらうまく試せなかった。
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