1。雌親に由来するT^<hp>/+mat胎仔の観察 T^<hp>/+pat雄とC3H雌の交配によって得られたT^<hp>/+pat(F5)雌とC57BL/6雄を交配して生じる、胎令18日(膣栓発見日=胎令1日)の雌親由来のT^<hp>/+mat胎仔17例と、正常胎仔(+/+)16例について、体重、頭臀長、胎盤重量を計測学的に比較した。その結果、T^<hp>/+mat胎仔の体重および頭臀長が有意に大きかった。T^<hp>/+mat胎仔が全身に浮腫があることを考慮すれば、頭臀長の差は正常胎仔にし比T^<hp>/+mat胎仔の明らかな発育過剰を示している。 2。出生可能な雌親由来のT^<hp>/+matマウスの観察 T^<hp>/+pat(F5)雌と、近交系化さらた野性マウスKJR雄との交配で得られた、T^<hp>/+matマウスの観察から次のような結果が得られた。a)胎令18日でT^<hp>/+mat胎仔は同腹の正常(+/+)胎仔に比べ体が大きい傾向があった。しかし、T^<hp>/+pat雌(F5)とC57BL/6雄との交配で得られたT^<hp>/+mat胎仔で見られたような全身の浮腫、臍瘤を伴う肝突出、多指症、目瞼開存、胸腺低形成、肺動脈幹低形成大動脈弓部奇形は見出されなかった、b)出生後50〜209日の観察ではT^<hp>/+matマウスは同腹の正常(+/+)マウスと比べ、体の大きさや各臓器重量に差が出る傾向はなくなった。 3。本年度の実験結果の総括 a)T^<hp>/+pat(C3H・F5)雌とC57B1/6雄の交配によって生じるT^<hp>/+mat胎仔は胎生末期に死亡する。T^<hp>/+mat胎仔は胸腺低形成や肺動脈幹部低形成とともに、発育過剰がみられる。肝突出や心過形成も発育過剰と同様に成長因子と関連した異常と考えられる。b)T^<hp>/+pat(C3H・F5)雌とKJR雄の交配で、胎令18日のT^<hp>/+mat胎仔が体が大きいが、その他の異常は合併していなかった。また、出生後1ヵ月以上生存したT^<hp>/+matマウスは、身体の異常を認めなかった。交配する雄の違いによりgenomic imprintingの関与する形態発現が異なる事実は注目される。
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