平成5〜7年の研究計画に従い、平成5年度はスンクスの扁桃を含む免疫組織でのT・Bリンパ球の細胞動態に関し、我々の研究室にて精製した抗スンクスT・Bリンパ球に対する単クローン抗体(ST1・ST4)を用い免疫組織化学的染色を実施し、口蓋扁桃/耳管扁桃/所属リンパ節等の局在を観察し、それらスンクス扁桃の免疫組織学的特徴について検討し、平成6年それら一連の成績をHistochemistry(102:445-450、1995)に発表した。また、本年度前半期では人工抗原(パーオキシダーゼ/Freund完全アジュバンド)を用い、スンクス鼓室に同抗原を感作し、スクル耳管扁桃/所属リンパ節/口蓋扁桃での特異抗体産生細胞の細胞動態や同抗体の腎臓メサンギウム域での沈着や血清濃度などを観察し、慢性中耳炎および滲出性中耳炎モデルの作成を試み現在も引き続き検討している。その結果、中耳に感作された同抗原は、耳管扁桃上皮中に散在するM細胞を介して補足され扁桃での免疫応答を惹起し、パイエル板など同様、全身性免疫反応へと広がりを見せる事や耳管内遊走細胞にも同抗体を保有する細胞が存在する等が解った(本年4月の第100回・日本解剖学会総会に発表)。更に、扁桃と脾臓など末梢リンパ臓器との関与に関し、脾臓リンパ球の扁桃へのホ-ミングに関し、in situに染色した脾臓リンパ球を静脈内に注入し扁桃高内皮細胞への接着時に抗ヒト接着因子(ICAM-1)が証明される事など興味ある所見を得ている(これら成績は平成7年6月の第3回国際扁桃シンポジウム・札幌に発表を予定している)。
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