本研究の目的は主に以下の2つの対象からなる。即ち1)局所心筋壁の2次元運動の定量化、及び2)心腔内血流速2次元ベクトルの定量化である。この背景としては、1)従来局所心筋壁運動の定量化は多くの方法が提案されているが、各心時相で心内膜をマニュアルまたは自動トレースして評価する方法は何らかの動きの仮想中心を必要とし、局所心筋壁機能の異常のある場合や刺激伝導系の異常のある場合そのような仮定が妥当である保証はない。動きの方向を仮定せず、心筋壁の回転運動等も含め、リアルに計測する。2)現在の市販されているドプラ装置は超音波ビーム方向の速度のみ計測可能で方向依存性がある。そこで2次元流速ベクトルを推定できればこの問題は解消され、より多くの情報を提供できる。方法としては最近市販された高フレームレート超音波装置にコンピュタにより1)では相関法を適用して、2)では流体の法則を適用して計算機処理にて求めた。1)では相関法を複合した指標を用いた。即ち、相関係数が低下する場合、大きなROIとの相関、初期画像との相関、動きの慣性モーメントを追加した。これら指標の重み付けは人の追跡結果との2乗誤差が最小になるよう決定した。この結果、自動的に局所の2次元運動が追跡でき、異なる病態を反映する追跡結果が実用レベルで得られることが分かった。本手法、結果の詳細は以下の論文及び循環器学会、ME学会総会に発表した。 Regional Wall Motion Tracking System for-High-Frame Rate Ultrasound Echocardiography Advanced Motion Control Proceedings 1996 sponsored by IEEE/The Industrial Electronics Society p389-394 1996 心エコー画像における局所心筋壁2次元運動の追跡 電子情報通信学会論文誌D-II volJ79 p286-294 1996 2)については現在論文投稿を準備中である。
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