義歯等の歯科補綴物を磁気的な吸引力で維持する装置を磁性アタッチメントと呼ぶが、私はこれまで歯科医の協力のもとで磁性アタッチメントの開発を手掛け、その一部は既に実用化され、実際の臨床で利用されている。今回の研究の目的はこれをさらに発展させることであり、特に歯科臨床から要求の多い補綴物の種類、形状ならびに歯牙の形態に応じた磁性アタッチメントを開発することである。これに関し、本年度は昨年度の成果を踏まえてに特に以下のような実績をあげた。 1.磁性アタッチメントの加工性:従来開発してきたカップヨ-ク型磁性アタッチメントにおいて、臨床で柔軟に使用するためにどの程度の切削、加工性があるかを3次元磁力解析にもとずいて明らかにした。 2.磁性アタッチメントの維持特性の変化:磁性アタッチメントの長期臨床使用における口腔内形状の経時変化に伴う維持力の変化について解析を行い、その特性を明らかにした。 3.復元力の大きい磁性アタッチメントの開発:上記で明らかにされた特性をもとに、口腔内の形状経時変化に伴う維持力低下をできるだけ軽減する新しいタイプの磁性アタッチメント、スプリットポール型磁性アタッチメントの開発を行った。 4.上記の磁性アタッチメントを試作し、その臨床効果を確かめる臨床研究も併せて行っている。
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