バイオフィードバックは不随意(あるいはそれに近い)機能随意的にコントロールできるようにするための一つの技法であり、心療内科などの臨床場面に応用されて効果をあげている。また、工学的にみても生体制御の本質に立脚している点でたいへん興味深い現象である。その理論的基礎を求めて、本年度、以下のような研究を行った。 1.バイオフィードバックの手続きの検証 まず始めに、実際のバイオフィードバックの手続きを見直し、その技法の本質を特徴づける要素を抽出した。その結果、バイオフィーバックは、【.encircled1.】体外情報経路の付加、【.encircled2.】自己学習訓練、【.encircled3.】体外経路除去後の効果残留、の3点によって特徴づけられるとの結論を得た。 2.生体制御モデルの構築 以上の3点を説明する生体モデルとして、フィードフォワード系とフィードバック系を組み合わせた学習システムを提案した。このモデルにおいて、体外情報経路は意識上と意識下を結ぶ役割を果たし、学習は、制御の中心がフィードバック系からフィードフォワード系に移る方向に進む。その結果、学習が進めばこの体外経路を除去しても、学習した制御能力は残ることになる。 3.モデルの動作の数値的解析 上記モデルをコンピュータ上に構築し、その動作特性を数値的に解析した。とくに収束性を含む学習過程の様子は実際のバイオフィードバックの実際とよく符号しており、このモデルの妥当性が示された。
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