研究概要 |
1.小型振動子を用いて、1〜10Hzの超低周波機械振動を発生し、加振用アダプタを介して生体軟部組織に微小な振動を加える装置を試作した。加圧を受けた生体軟部組織の動態を1/15秒のフレームレートで包絡線検波し、Bモード断層映像信号として取り出し、高速ワークステーションに転送するシステムを完成した。 2.振動加圧に応答する軟部組織の局所変位量は、プローブ用超音波のBモード断層画像上に現れるオプチカルフローより検出した。この方法は、断層画像中の画素単位の変位をブロック相関法を用いて、また一画素以下の微小変位を時空間微分最小二乗法を利用して、数画素から画素以下にわたる広範囲の変位を算出するものである。後者は、二次元Bモード画像上での変位(u,v)が、時間微分f_t(x,y)と空間偏微分f_x(x,y)、f_u(x,y)に対して、f_t(x,y)+uf_x(x,y)+vf_u(x,y)=0を局所領域内で満足しなければならない原理を利用している。二次元変位(u,v)を算出した後、変位の空間勾配から歪の分布を推定した。 3.局所領域で計測した変位と歪の分布から弾性係数の相対分布を逆計算する方法を開発した。 4.振動子による加圧を行うに先だって、心拍動に起因する肝臓組織の変位と歪を算出した。その結果、正常肝では変位が大きくだけでなく歪も3〜8%と大きく、心臓からの圧迫を吸収する様に変形しており、組織が軟らかいことが示された。硬変肝では変位であっても歪は2%以下と小さく組織が硬くて変形を生じにくいことが示唆された。
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