研究課題/領域番号 |
05680768
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
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研究分担者 |
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (30249560)
木村 昭洋 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60204971)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30163801)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | 冠血流調節 / ミクロオートラジオグラム / 分子血流マーカー / 局所冠血流分布 / 空間的相関関数 |
研究概要 |
今年度は当初の予定通り、以下の実験を行った。 計測:麻酔開胸ラビットの左房に、血流マーカーとして^3H-desmethylimipramineを投与した後、左室自由壁を切り出し、液体窒素で凍結させた。ミクロトームにより心外膜側から心内膜側へ貫壁性に、100mum厚の切片を作製した。バイオイメージングアナライザ(Model HGE,Fujix Co.)により各心筋切片のオートラジオグラムを作製し、血流量に比例して冠血管内皮細胞に取り込まれた分子トレーサのbeta線放射活性強度(血流密度分布)を、分解能0.1mmで計測した。 解析:各心筋切片毎に、beta線放射活性強度をグレースケール(64階調)に線形変換し、画像解析を行った。また、血流密度のヒストグラム、血流密度分布の空間的相関関数を求め、冠血流の心筋内分布パタンについの定量的指標を与えた。 結果:空間的相関関数により、0.1mmのスケールまで心筋が心内・外膜側ともに密に(二次元空間を満たすように)灌流されていることが示された。しかしながら、血流密度のヒストグラムより、ポアソンパタンに見られるようなランダム性は血流分布パタンでは抑えられていることが示された。以上により、コントロール状態において、これまで不明であった毛細血管床単位の心筋灌流が心内・外膜側ともに密であることが明らかになった。また、心筋微小領域の血流分布パタンはポアソンパタンに比べて有意に均一で、局所血流量のバラツキを小さくするような冠血流調節が0.1mm以下のスケールまで行われていることが示唆された。 次年度は、コントロール時の冠動脈狭窄により冠灌流圧を低下させた際、および再灌流の際の、冠血流分布の不均一性の計測、解析を今年度と同様の手順で実施する。さらに、各種病態モデルの小動物について、冠血流分布の不均一性の実験解析を行う予定である。
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