問題と方法: 県内3つの幼稚園に協力してもらい、通園する4〜6歳の園児とその母親を対象に、261家庭を調査した。当該年度は、縦断的研究の第一ステップである調査と観察を実施し、被験者属性、家族形態、こどものネットワーク、母親の友人ネットワーク、母親の報告によるこどもの社会的スキル、気質的な特性等をサーベイする目的にある。これにより、現在の子どものネットワークの概要が把握され、親密化の過程を探っていくことができる。対象は、核家族が68.7%、拡大家族30.2%、きょうだい数は、2人、または、3人が88.6%を占めていた。付随する行動観察は、幼稚園での遊びの様子をビデオカメラで録画し、後にチェックリストにより、分類するよう計画された。そのうち、1園では、園児に家族の絵を描かせ、会話を通じて、家族関係等の情報を集めて、資料としている。 結果と考察: (1)こどものネットワーク 日常接している平均人数は、9.7人。うち、大人(20歳以上)5.4人、こども(ほとんど、同年齢)4.3人。構成は、両親、祖父母、近隣のおばさん、友達(男・女)、幼稚園の先生、習い事の先生等である。接触時間・頻度は、家族、特に両親が多いが、どのような接し方をしているかといった、機能性(遊び、世話等)については、異なる様相を呈している。また、年齢によるネットワークの人数の違いはみられないが、出生順位別では、その構成(接触する対象)と人数に若干差異がみられる。 (2)家族関係 父親になつく年齢が低いほど、大人との接触人数が多い傾向もみられる。家族との関係は、こどもの絵に表われることが多く、ある特定の家族メンバーの省略、自己との位置関係等で外観でき、園の指導者(担任)の情報と合わせて考えると、より有効である。 尚、本研究の結果は、1994年(今年)の日本心理学会、日本社会心理学会で発表の予定である。
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