1.資料の収集整理 (1)既収集の陜甘寧辺区政府公文書、戦時児童保育会、婦女連合会関係文献については、文献リストおよび記事内容データベースを作成した。 (2)未収集の各級政府・団体による保育訓練班関連資料、各保育機関に関する資料は、新たに『解放日報』より収集した。 2.研究成果の公開 (1)所属学会での研究発表は、今回は見送り、機関誌に論文を投稿。所属機関内外の研究会での口頭発表をそれぞれ1回ずつ行った。 (2)1.で整理した資料は、閲覧可能な状態で保存する予定。 3.得られた新たな知見は; (1)中国旧解放区では、日本軍の空襲による戦災児童および革命参加者の遺児、抗日戦士・女性幹部の子女の保護のために、公費負担の全寮制保育が展開、子ども最優先の方針が貫かれた。また、女性幹部養成・婦人動員の必要から大学・機関内託児所が設置され、母性保護の諸施策がなされた。 (2)一方、辺区の農村では乳児死亡率60%という状況であったため、(1)より遅れて、母子保健担当者の養成が、保育事業の一環として展開される。同事業は、整風運動後には、生産や識字教育、模範郷村建設などと結合した形で基層レベルの展開もみせた。 (3)(1)の保育機関は、「解放」後、中央に移転し、解放区のすぐれた伝統として語りつがれる一方、(2)の農村の母子衛生の環境の劣悪さは、今日も克服すべき問題となって残っている。
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