研究課題である「英語の談話機能的側面の研究」については平成5年度以前から研究にとりかかっており、すでに研究成果の一部は英語の文理解について発表している。平成5年度科学研究費補助金交付後は、文献と資料を収集、追加しながら、さらに構文の機能的分析を進めている。研究の中間発表として「伝達機能の重要性」の題で受動文や一定の動詞及び副詞的表現についてまとめ、『佐賀大学研究論文集』第41集第1号(I)p.39-53(平成5年)に掲載した。平成6年度も引き続き同じ課題で研究を進める計画であり、現在関係詞の伝達機能について研究成果をまとめており、近く発表の予定である。 これまで多くの機能的概念とその分析を考察し、構文分析として挿入表現や絶対構文の分詞節などの従属節について整理しているが、今後は関係詞表現とその類似構文にまで考察を拡げていく予定である。これらの構文には前景と背景や前提と断定等の機能的な要素が大きくかかわっていることがこれまでの研究でわかっている。談話上の機能には「旧情報から新情報へ」等の原則のほか、主題(theme)と題述(rheme)、トピックといったものがある。また共感(エンパシー)、前提、話し手の意図、語用論的側面など多くの機能的要因がある。こうして機能的要因が相互に関連した形で英語表現にかかわっているところを今後解明していく予定である。 また、これと平行して、平成5年度分の補助金でノルウェーコンピューターセンターから販売されている英語の言語データベースソフトを購入、その資料のBROWNコーパスの分析を始めている。膨大なデータではあるが、ハードウェアの整備を進めて活用する予定である。同時にネイティブスピーカー(母語話者)による判断資料も収集している。こうした研究成果を英語の指導に活かすことも考えている。また文献と資料の整理とデータのまとめも行っている。
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