本研究の目標は、(1)Shock-persistentな経済時系列データに適した統計的推測理論を開発すること、および(2)その手法を日本のマクロ経済変動の分析に応用すること、の2つであった。残念ながら、時間的な制約のため第2の目標はまったく成し遂げられなかった。 第1の目標も十分に成し遂げられたとはいえず、現在いくつかの理論的研究を並行的に進めている段階である。取り敢えず完成した研究は、いわゆるunit roof testの検出力の改善に関するもの“LM tests for a unit root in autoregressive time series"と題した論文(大阪大学経済学部の大屋幸輔氏との共著)にまとめた。これは、Lagrange Multiplier原理をunit rootの検定に適用することによって、有限標本でより検出力の高い検定法を導出できることを示したものである。この論文は、現在、Econometric TheoryのTrending Multiple Time Series特集号に投稿中である。 今後も引き続き、満足できる理論的成果を得られるよう研究を進めていくつもりである。また、冒頭の第2点についても今後の課題としたい。
|